学校で何を、どのように学ぶのかを決める土台が「学習指導要領」です。保護者の方からは、「以前と何が変わったの?」「通知表の見方が分かりにくい」「家庭では何を意識すればよい?」というご相談をいただくことがあります。
現在の学習指導要領は、小学校で2020年度から、中学校で2021年度から全面実施されています。改定直後の話ではなく、いま学校で行われている授業や評価の基本となる考え方です。暗記した知識だけでなく、知識を使って考え、学び方を調整する力まで含めて育てようとしている点が大きな特徴です。
この記事では、現行の学習指導要領で大切にされているポイントと、家庭でできる支え方を分かりやすく整理します。学校の取り組みを正しく理解して、日々の声かけや家庭学習に生かしていきましょう。
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学習指導要領とは?学校教育の共通の土台
学習指導要領は、全国の学校で学ぶ内容や目標の大枠を定めた基準です。すべての学校が同じ時間割や同じ教材を使うわけではありませんが、どの学年で何を身に付けることを目指すか、評価はどのような観点で行うかを考える共通の土台になります。
改定の背景には、情報化や国際化など社会の変化があります。ただし、特別な知識だけを早く身に付けることが目的ではありません。学んだ知識を生活や課題に結び付け、自分で考え、人と関わりながら学びを深めることが重視されています。文部科学省の小学校学習指導要領の解説では、各教科の目標や学年ごとの内容を確認できます。
現行の学習指導要領で重視される3つの力
現行の学習指導要領では、育てたい資質・能力が大きく3つの柱で整理されています。これは、テストの点数を軽視するという意味ではありません。基礎を確実に覚えたうえで、それを使って考え、次の学びにつなげることを大切にする考え方です。
- 知識・技能:言葉、計算、資料の読み取り、実験や表現の方法など、学習の土台となる力
- 思考力・判断力・表現力等:知識を使って比較する、理由を考える、自分の考えを説明する力
- 学びに向かう力・人間性等:自分の学習を振り返り、よりよい学び方を考えようとする姿勢
たとえば算数・数学なら、計算方法を覚えるだけで終わらず、「どの式を使うか」「なぜその答えになるか」を説明する場面が増えます。国語なら、文章を読んで答えを探すだけでなく、根拠を示して自分の考えをまとめる力が求められます。家庭でも答えをすぐに教える前に、「どう考えた?」「その答えにした理由は?」と聞くことが良い練習になります。
授業で大切にされる「主体的・対話的で深い学び」
「主体的・対話的で深い学び」は、グループワークをすればよい、発表の回数が多ければよい、という決まった授業形式のことではありません。子どもが見通しをもって学び、友達や資料から得た考えと自分の考えを比べ、理解を深められるように授業を工夫するための視点です。
家庭でできることは、学校と同じ授業を再現することではありません。宿題を終えたあとに「今日いちばん難しかったことは何?」「前より分かるようになったことは?」と短く振り返るだけでも、自分の学習を見つめ直す練習になります。答えが間違っていたときも、どこで考え方が変わったのかを一緒に確認すると、次の解き直しに生かせます。
家庭では「説明する機会」を増やそう
説明する力は、特別な教材がなくても育てられます。社会の資料を見て気付いたことを一言で言う、理科の実験で予想と結果の違いを話す、読んだ本の面白かった場面を紹介するなど、学んだことを自分の言葉にする機会を作ってみましょう。うまく説明できなくても、「もう少し教えて」と聞き返すことが、考えを整理する助けになります。
教科ごとに知っておきたい主なポイント
外国語は小学校から段階的に学ぶ
小学校では、3・4年生で外国語活動、5・6年生で教科としての外国語が行われています。音や基本的な表現に親しむ段階から、聞く・読む・話す・書くことを段階的に学んでいくため、家庭では学校で扱った歌や表現、教科書の音声を短く繰り返すだけでも支えになります。
英語は早く難しい単語を覚えることよりも、「聞いたことがある」「少し言えた」という経験を重ねることが大切です。年齢ごとの英語との付き合い方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
情報活用能力は教科を横断して育てる
情報活用能力も、これからの学びの基盤の一つとして位置付けられています。これは、単にパソコンを速く操作する力だけではありません。必要な情報を探し、比べ、根拠を確かめ、相手に伝わる形にまとめる力を含みます。家庭でも、調べた情報の出どころを一緒に確認したり、「この資料から何が分かる?」と考えたりする習慣が役立ちます。
算数ではデータを読み、根拠を説明する力を育てる
小学校の算数では、表やグラフ、平均や代表値などを用いて、データを分類し、特徴や傾向を読み取って考える学習が重視されています。単に表を読めるかで終わらせず、「何を根拠にそう考えたのか」を説明する場面が増えるため、家庭でも「このグラフから何が言える?」と聞くことが役立ちます。学年ごとの内容は、文部科学省の小学校学習指導要領解説で確認できます。
プログラミング教育も、早くコードを書けるようにすることだけが目的ではありません。目的をかなえる手順を考え、結果を確かめ、必要に応じて直すという試行錯誤を通して、筋道を立てて問題を解決する力につなげます。家庭では、答えを急ぐ前に「どんな順番で考えた?」と聞くことが、その土台になります。
通知表は3つの観点で見ていく
小・中学校の観点別評価は、現在「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で整理されています。提出物の量や発言の多さだけで評価が決まるものではなく、学んだことを理解・活用できているか、学習の進め方を振り返ろうとしているかなどを、教科の目標に照らして見取る考え方です。詳しい考え方は、文部科学省の学習評価の資料でも確認できます。
通知表を見るときは、評定だけを比べるのではなく、どの観点に課題があるかを次の行動に結び付けましょう。たとえば知識・技能なら基本問題や用語の確認、思考・判断・表現なら途中式や根拠を書く練習、主体的に学習に取り組む態度なら学習計画と振り返りを短く続ける、といった形で改善できます。
中学生の通知表と神奈川県の高校入試で用いる内申点の関係は、こちらで整理しています。
家庭でできる3つのサポート
1.結果だけでなく過程を聞く
テストの点数や宿題の正誤だけで終わらせず、どう考えたか、どこで迷ったかを聞いてみましょう。自分の考えを言葉にすることで、分かっている部分と曖昧な部分を子ども自身が整理できます。保護者がすぐに正解を示さず、まず話を聞く姿勢が学びの自立につながります。
2.短い振り返りを習慣にする
毎日長い反省を書かせる必要はありません。「今日できたこと」「次に確認すること」を一つずつ書く、または口頭で話すだけで十分です。振り返りを繰り返すと、苦手な単元を見つけたり、自分に合う勉強時間を選んだりする力が少しずつ育ちます。
3.学校の学びと家庭学習をつなげる
家庭で先へ先へと進めることだけが支援ではありません。授業で分からなかった語句を調べ直す、教科書を音読する、ノートを見返して次の授業の準備をするなど、学校での学びを確かなものにする時間を作ることが大切です。お子さまの負担が大きいときは、量を増やす前に、取り組む順番や時間帯を一緒に見直してみましょう。
まとめ|学習指導要領を家庭での声かけに生かそう
現行の学習指導要領では、知識・技能に加えて、考える力・表現する力、自分の学びを調整する力が大切にされています。学校の学びが変わったからといって、家庭で特別なことをたくさん始める必要はありません。
「どう考えた?」「次はどうする?」と対話し、できたことを具体的に認め、短い振り返りを続けることが、学びに向かう力の土台になります。学校での学習を家庭で支えながら、お子さまに合う学び方を一緒に見つけていきましょう。




