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今回の学習指導要領改訂は、これからの未来を生きていく力の育成に重点を置いて内容の変更などが行われています。
子どもたちの「生きる力」を育むため、学習指導要領が約10年ぶりに改訂され、2020年度より小学校で実施されます。
学習方法も、子どもたちの主体性を尊重して活動的なものが多くなります。
時代の変化に対応した今回の改定によって、今後の社会で求められる力がより身に着けられることが期待されます。
今回は小学校での「学び」が、どのように変化するのかをご紹介します。
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グローバル化社会に向けた外国語教育
今回、小学校の学習指導要領改定で大きく変わるものの1つが外国語教育(英語)です。
中学英語に向けた基礎作り
新学習指導要領では小学校3・4年で「外国語活動」が、小学校5・6年で教科としての「外国語」が導入されます。
これは「聞くこと・話すこと」を習得した後に「読むこと・書くこと」に取り組むという、学習の流れを作るためです。
これまでも小学校3・4年で英語に触れる取り組みは行われてきましたが、それらは「総合的な学習の時間」の一部にすぎませんでした。
今後は小学校3・4年でも年間を通して35コマ、5・6年の外国語の時間もこれまでの倍に相当する70コマに増え、中学校以降の英語学習に向けた基礎固めが図られます。
小学校でも英語の読み書きがスタート
小学校3・4年の外国語活動では、総合的な学習の時間に行われてきたようなALTとのゲーム形式の授業だけでなく、ICT教育も絡めながらネイティブな発音の英語に触れるようになります。
また、従来の英語学習で「中1ギャップ」が問題視されてきた対策の1つとして今後行われるのが、小学校5・6年での英語の読み書きです。
「中1ギャップ」とは小学生から中学生になったとき、学校生活や授業が今までとまったく違い、環境(学習・生活・人間関係)になじめないことから不登校、いじめなどの問題が起きる現象のことです。
小学校の段階から英語の簡単な文章を読むこと、英語を書いて表現することに慣れるような学習内容が加わります。
小5~小6の2年間で学習する英単語(連語や慣用表現を含め)の数は、600語〜700語。これは現行の中学校で学習する目標語彙数の約半分です。
IT社会で活かされる算数力
さらに新学習指導要領で注目されているのは、算数教育に新設される「プログラミング的思考」と「データの活用」という2つの学習内容です。
どちらも今後ますます進むことが予想されるIT社会で活きてくる学習内容です。
プログラミングで算数的問題解決
今回の指導要領改訂によって小学校で必修となるプログラミング教育は、複数の教科にまたがって行われます。
その中でも特に算数では、様々な単元において実際にパソコンなどでプログラミング操作を体験する学習内容が増えます。
例えば、小学5年の正多角形の作図でプログラミング操作によって作図を行い、「どのようにプログラムを直したら、もっと辺の多い正多角形を作図することができるか」を考えさせる学習もその1つです。
プログラミング教育はプログラミングができる力を育成することが目的と思われがちですが、実は「プログラミングを通して論理的に問題を解決する力」を育成することが目的なんです。
中学校から小学校へ移行する「データの活用」
「データの活用」という単元は、これまで中学1年で扱っていたものです。
これまでも「資料の考察」の中で扱われていた度数分布表や柱上グラフなど、図を用いた数量表現については引き続き小学校で学習します。
それに加えて指導要領改定後は、折れ線グラフや円グラフも含めた複数のグラフの比較、平均値・中央値・最頻値などの代表値、統計的な問題解決方法、場合の数についても触れることになります。
これまでよりも与えられたデータを分類したり、データの特徴を考えたりする力を重視した学習内容へと変わります。
その他にも6年生で学ぶ「速さ」が5年生へ移行したり、4年生で「割合」が追加されたりなど、算数が苦手な子は要注意です!
国語、理科、社会の変更点
指導要領改訂に伴う大きく変更するのは外国語教育と算数ですが、もちろん他の教科もそれぞれ変更点があります。
国語
小学校4年以降に習う漢字の配当が変更されます。また、主体的言語活動の充実のために、説明すること、取材すること、文章で記録することなどの言語活動が増えます。
都道府県に用いる漢字25字が、他学年から小学4年生に追加されました。
理科
算数と同様にプログラミング教育に関連した学習内容が電気分野に加わります。
また、表現力の育成に力を入れた新指導要領では、理科的現象の意味や現象が起きる理由などを自分の言葉で表現する力を育む学習内容も増えます。
「説明」(=表現力)が求められます。実験や観察ではさまざまな方法でわかりやすく説明し、表現力を養います。
社会
これまで小学4年で配布されていた地図帳が小学3年で配布されることになるため、方位や地図記号の学習がより主体的活動となります。
租税の役割や少子高齢化、情報産業など身近に迫る学習を通して、選択・判断を含めた思考力の育成も図られるようになります。
小学3年生から市区町村の学習が始まり、公共施設の役割や税金の使い道なども学びます。6年生では学習する順番が政治からになり、より実用的な内容から学ぶようになります。
道徳の教科化
主要教科以外の変更点として道徳が教科化されます。
2018年度から先行して行われていた道徳の教科化が、2020年度に完全実施となります。
教科化されることで、これまでより他の教科などに振り替えられることなく道徳の時間が確保されるようになります。
これまで道徳で扱う内容は教師によって異なることがありましたが、教科化によって検定教科書の内容に定められる点も大きな変化です。
まとめ 「何を、どのように学ぶか」も重視
新しい学習指導要領では、子どもたちが能動的(アクティブ)に「何を学ぶか」だけでなく「どのように学ぶか」が重要視されます。
今後はこの「アクティブ・ラーニング」を活用して、より主体的・対話的で深い学びができるよう授業改善することも求められてきます。
従来、思考を要さない「答えを教え込む」指導が求められてきましたが、「そこまでのプロセス」を大切にする指導が重要視されるようになってきているのです。
過去の“教え方”や“成功体験”という前例にとらわれることのない「学び」を目指し、私たちも常に「思考」を続けていきましょう。